第118回講演会
プラスティック その2
開催: 2016年6月18日 14:00~17:00
講師: 大和田 哲郎

ペットボトルやレジ袋が海に捨てられ波に揺られ紫外線で粉々になると、中にはプランクトンよりも小さなマイクロプラスチックになる。それがやがて魚介類の体内に蓄積され、それを人間が食べてしまうという連鎖が起きている。
特に日本海には、ハングル文字が印刷されたプラスチック製品が多数漂っている。我が国だけでなく、近隣諸国と連携して解決しなければならない大きな問題。
一方、これを解決する1つの手段として、セルロースナノファイバー(CNF)が脚光を浴びるようになった。昨年、東大の磯貝明教授がスウェーデンの森林分野のノーベル賞を受賞した。セルロースを分解する触媒(TEMPO)の開発が評価されたての受賞で、この触媒を使うとそれまで難しかったセルローズの活用が大幅に広がった。
CNFは、鉄やプラスチックに代わる新しい素材として期待される。鉄の5倍の強度と、1/7の軽さ、しなやかさや透明性、熱に強いという特徴を持ち、まさに世界を変えるインパクトがある。我が国は歴史的に紙素材を加工する技術を持ち、木材だけでなく雑草、竹、食糧の廃棄物等セルロースであれば何でも材料として使用できる。愛媛大学紙産業イノベーションセンター、京都大学矢野浩之教授、大阪大学の能木准教授等が研究を進めている。民間では、王子製紙やトヨタが先行するが、世界各国が実用化に向けてしのぎを削っている。
産学協同、異分野ネットワークづくりが大きな課題であり、フットワークの軽い中小企業を中心に今後の発展が期待される。
出典:NHKクローズアップ現代
・No.3725 2015年10月29日(木) 海に漂う“見えないゴミ” ~マイクロプラスチックの脅威~
・No.3751 2016年1月12日(火)“未来の紙”が世界を変える!?~日本発・新素材の可能性~
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