第24回講演会


開催: 2008年3月29日 15:00~18:00
講師: 占部 浩一




第24回講演会は、基礎科学マイスター占部博士による「エントロピー」についての講演であった。

日常、「エントロピーは増加する」、という言葉は巷にあふれている。
整理整頓の悪い人間は、「机上が乱雑になるのは、「エントロピーは増加する」という自然の法則によるものである」、という言い訳にも使う。それでは、エントロピーの本質は何か。詳細はレジメに示すとおりであるが、かなり難しかった、というのが本音である。

「エントロピー」という言葉が最初に使われたのは熱力学の分野で、与えられた熱量Qを絶対温度Tで割った値として定義された。そしてこの考えが統計後学や情報理論の分野でも使われ、更に一般の世界でも使われるようになった。

即ち、エネルギーの変化に着目すると、自由エネルギーの変化分は外部への仕事として使えるエネルギーであり、エントロピーの増大はエネルギーの劣化とも考えられるそうである。
使用可能なエネルギー
  エントロピーの増大 → 使用可能なエネルギーの減少 → 産業廃棄物 → 公害 → 生態系の破壊

自然界は、場合の数は少ない状態から、場合の数の多い状態に移る、即ち秩序だった状態から無秩序な状態へと無秩序化してゆく。エントロピーは無秩序性の尺度とも考えられ、自然界は自発的変化によりエントロピーは増大していく。

2次会の懇親会では、ワインの効果もあり、難解なエントロピーから始まり、人間の論理性と大脳皮質の関係まで迷論・放談が飛び交い、会員相互の懇親を深めた。

さらに番外で、青色ダイオードの発明で有名な中村修二さんの著書「21世紀の絶対温度(集英社刊)」からエントロピーにまつわる話の紹介もあった。

  • どんな系でも自然に放置すれば、必ずランダムで乱雑な状態になる。「覆水盆に帰らず」だ。
  • 特定の性格の人間ばかりが集まる均質社会は不安定で、善人ばかりではなく悪人もいるバラバラで多様な社会の方が安定している。多様な社会への移行を食い止めようとするには、エネルギーが必要になる。
  • 効率的で精密なマシンはちょっとしたことで動かなくなる。性能は悪くても、すこしゆとりをもったマシンはわずかなことでは動かなくなることはなく、丈夫で長持ちする。
  • 40人のクラスには数学が得意な子供もいれば、絵が得意な子供もいる。それぞれバラバラで不均一なのが人間だ(エントロピー増大)。そのバラバラ加減が個性なのだ。



 


講演会レジメ

    レジメ

数式の説明から入る講師  ウームと考え込む参加者たち 参加者全員でパチリ