第11回講演会


開催: 2007年1月20日 15:00~19:00
講師: 永田 典子

 


司会者の周到なレジメのお陰で、早期英語教育の問題点・難しさを容易に概括することができた。
これに基づき、参加者の活発な発言が行われ、下記のような意見が出された。

    •  早期教育の必要性
      絶対音感は6歳までに培われる。発音とヒヤリングだけをやれば充分。英語と日本語では発音の仕組が異なるので、5年生頃から発音はみっちりやるべきである。外人アレルギーをなくすためにもいいことである。



    •  海外の取り組み
      タイの1996年を皮切りに、各国とも早期教育に取り組み始めた。例えば韓国では、母子はオーストラリアに移住して子供の英語教育に専念させる家庭が大分出てきたし、インドネシアの華僑も、子供の早期教育に熱心である。 EUが出来たことにより、ヨーロッパでも英語が出来ないと生活していけなくなった。ノールウエイのような人口の少ない国では、映画の字幕をノールウエイ語で作っても収支が合わないので、英語のまま上映する。



    •  実用英語
      • マルタ島での英語研修に参加すると、各国の受講生は皆英語をよくしゃべれる。ただし、単数/複数、時制など文法力がないので、文法を習いに来ている。
      • インドネシア人に日本語を教えた経験では、文法を間違えてしゃべられたとしても何とか理解できるが、単語が出てこないとお手上げだ。極端な話、単語をならべられれば何とかなる。彼らは英語をしゃべれるが、文章を書かせると複数/単数、過去/現在/未来など文法は目茶苦茶。逆に、日本人は文法知識があっても、しゃべれない。
      • イギリスの地下鉄駅で、手にいっぱいコインを持ち、しきりに地図を指差す中国人に会った。切符を買ってくれと言っていると察し、切符を買ってやった。ジェスチャーでも海外旅行はできる、要は「度胸が必要」ということ。
      • ラオスでは、ラオス語の文章の流れを基本にして、ただそれに英単語を当てはめた「ラオス英語」を教えると聞く。この方法だと、習得が早いそうだ。
      • 英会話クラスで、何を言おうかパニックになったら、米人教師から文法を考えずに間違えても良いからとにかくしゃべるように指導された。日本人は英国人、米人と同じように話そうと完璧を期そうとするから難しくなる。英語の書類を扱って仕事をしている人間でも、会話は片言ということが現実にある。読み書きと、会話は別物。
      • 50歳代以降の英語の習得法は、開発されないか。
        一案としては、ブログに英語で毎日日記を書き、それを添削してもらう。NHKのラジオ講座を無料で聞く。



    •  日本語の重要性
      インドネシア語には、男女の言葉使いの違いはない。日本語はなんて美しいのだろうと、インドネシアに住んで初めて気づかされた。ところが、最近は女子でも「てめえ」などと男言葉を平気で使うようになり、乱れてきたことは嘆かわしい。綺麗な日本語をしゃべれるように、家庭では親はきちんとしつけをやらなければならない。往々にして、外国知識人の方が綺麗な日本語をしゃべることがある。外人が日本語の文章を見ると、高度に発達した漢字、仮名を見て、それを日本人が習得していることに感嘆する。「わび、さび、しおり」など、日本人の繊細な情緒を表現することができる日本語は素晴らしい。



  •  問題点
    • 小学生の前に、教員のレベルアップが課題。
    • 国際的に日本は孤立化している。お家芸であったはずの鍼灸の学会は、完全にフランスなど海外が主流を占めるようになった。ツボの位置がおかしくても、日本人は英語で情報発信することができないので、訂正を求めることができない。日本の鍼灸は鎖国の間に、日本独自の技術を編み出した。鎖国は弊害ばかりではなく、文化を生む利点もある。
    • 英語ができる前の課題として、自信を持って外人に向かって話すことが出来る内容(コンテンツ)を持つこと、これがもっとも重要である。
    • 英語も中国語も韻を踏むなど、それぞれ奥深い文化を背負っているので、実利面ばかりではなく、各国の文化を相互理解することが重要。
    • 早期教育に気をとられているが、中学校以降の英語教育にこそもっと力を注ぐべきだ。ゆとり教育のお陰?で、現在公立中学の英語時間は週に3時間しかない。会話のみならず、読解力にももっと力を入れなければならない。
    • 全世界的に、英語万能の流行兆しがあるが、どれだけ続くのだろうか。かっては、ヨーロッパのインテリはラテン語を使ったが、一部を除くと使われなくなった(英国女王は今でも使う時があるらしいが)。
    • これまで日本は英語といえば、英米という東西を向いてきたが、これからは時差の無い南(オーストラリア、ニュージーランド)を向く必要がある。

 


講演会レジメ

  向かい合って喧々諤々の議論   講師を囲んで   議論の後はチョット気楽に懇親会