第82回講演会

 

「日本の医療問題」 -高齢者医療を中心に-

 


開催: 2013年5月18日 10:00~13:00
講師: 永田 典子、 赤井 喜久枝

 

 

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 65歳以上の高齢者人口が総人口に占める割合(高齢化率)が14%をこえると、高齢化社会から高齢社会になる。日本は高齢化率20%を超え、すでに高齢社会である。

 最初に、東京大学の医療チームにより作成された日本の医療問題についての資料を参考にしながら、その中の特に高齢者の医療問題を中心に取り上げた。

  1. 高齢化による医療費の圧迫
    高齢化率の上昇と共に医療費も高騰、2006年国民総医療費は約27兆円。しかし対GDP比では約8%で、先進国では最も低いレベルだった。アメリカは民間部門の支出が多く、総医療費支出が高いので、対GDP比では日本の倍程にもなる。

  2. 後期高齢者医療制度。(2008年導入)
    以前の老人保険制度では現役世代と高齢者の保険料の区分がなかった。現役世代人口の減少もあり、新たな制度の導入の必要性が増した。新制度により高齢者と現役世代の負担割合が明確にされたが、まだ多くの課題が残り、再検討が行われている。

  3. 高齢化対策―スウェーデンの場合
    1990年に高齢化率17,8%となり、日本より先に高齢社会を迎えたスウェ―デンは、1970~80年に、それまでの治療型から予防型に転換した。介護、福祉に重点を置くことで治療費の急騰に歯止めをかけた。県(ランスティング)と市町村(コミューン)の連携がスムーズに行われている。

  4. 世界各国の医療保険制度
    日本では1961年に国民が何らかの制度に加入すること(国民皆保険制度)が義務付けられた。世界の他の国々の例として、アメリカ、ドイツ、シンガポール、フランスの医療保険制度を見てみた。‘多くの国民が皆保険制度に反対’、‘最近まで皆保険が無かった’、‘高年齢になるほど保険料が上昇する’、‘皆保険でも外来診療には償還率が低い’等、国により様々の違いがある。インドネシア在住の会員からインドネシアの現状について聞くことが出来た。


高齢者医療&介護の問題を取り上げ、体験談が語られた。

  1. 現状のままで行くと、15年後には病院での死亡率が8割強となり、財政上の問題だけでなく、真に医療を必要とする患者を受け入れられない懸念もある。そのため入院から在宅への転換が図られているが、24時間ホームヘルプサービス等、在宅福祉の一層の整備が必要だ。終末期を迎えた時に利用できる施設として緩和ケア病棟(ホスピス)があるが、その数は現在全国に256施設。藤沢市は1ヶ所のみで病床数も僅か16床程。会員の体験談によると、1日2万円程の費用が必要で、長期にわたると高額になるが、本人も家族にとっても安心して終末期を過ごすことの出来る施設とのことだ。

  2. 訪問有償ボランティアナースの会、キャンナスが紹介された。菅原由美さんが藤沢市で始めた。滞在型訪問介護を提供し、現在全国に展開されている。

 

 

 

   講演会レジメ

  参考資料: 東大医療チーム「日本の医療問題」

 

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