第124回講演会
アメリカン・チャーター・スクールの動向
開催: 2016年12月17日 15:00~18:00
講師: 菊地 英昭

講師のご好意により、寒川町興全寺で今年最後の講演会を行った。
「教育は誰もが議論に参加できるテーマ」という言葉通り、寒川で教育改革に取り組む人も含め総勢14人で熱心な議論が展開され、忘年会でも盛り上がった。
「チャータースクール」とは、1991年にアメリカのミネソタ州で、公立学校に対するオールタナティブ教育機関として始まったもので、小学校入学前から高校生までの幅広い子供を対象とした教育制度で、その特徴は次の3点にある。
- Choice(選択の自由):子供や父母が地域指定の公立学校かチャータースクールを自由に選択できる。
- Autonomy(自主権):教師や父母、あるいは民間団体が自由に教育内容を設計し運営することができる。
- Accountability(結果責任):学力テストの結果や出席率、留年率等の多くの指標が公開されて、その評価結果によって学校存続の認可が決定される。
アメリカではその後チャータースクールへの人気が高まり、2015年には全米42州で法制化され、6800校で290万人の生徒が学び、待機待ちの状況という。一方日本では、「教育機会確保法」がこの12月に採択されたが、フリースクールを認可し支援すると「不登校を助長する」等の意見が出て骨抜きになったそうである。また「市民が創る公立学校」の著者佐々木氏が藤沢で設立を呼び掛けたが認可されなかったとのこと。アメリカの人種差別や貧富の格差の厳しさからくるチャータースクールへの期待と日本の平等指向とでは大きな差があるようである。
チャータースクールの運営主体も先生等の自主運営派からNPOや営利企業による運営と多種多様で、教育方法も以下のように色々ある。
- 市内の貧しい子弟と郊外の裕福な子弟を融合させるための英才教育を狙ったマグネットスクール
- 特定の校舎がなく、図書館やレストランを使った実学教育を行うフリースクール
- 親や家庭教師を使った教育計画を申請して行うホームスクール
議論では、オランダでは小学校でも飛び級、留年があるとか、日本では教師の再教育の方が大きな問題とか色々な意見が出た。更に最近では、ネットで有名講師の授業を聴講したり、就職後大学に入りなおすとか、実業高校の人気が最近高まっているとか、色々なケースが出てきているようである。
小学校から大学までの一本コースだけではなく、やり直しのできる多彩な教育コース、即ちそれがオールタナティブ教育の狙いであり、日本でも今後考えて行かなければならないテーマであるような気がする。
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