第126回講演会
働き方改革-1
- 開催: 2017年2月18日 16:00~19:00
- 講師: 橋本 壽之
今回は、講師が「働き方改革」というシリーズで取り組もうとしている論考の第1回目の講演で、「労働生産性が低い理由」に関するアンケートの結果をベースに説明と討論を行った。
日本の労働生産性が欧米に比べて低い要因を、以下のように大きく2分類して、それぞれの詳細を議論している。
1 社会構造に関するもの
l 単なる労働者の生産性(作業効率)ではなく、付加価値の高い製品を作り販売する経営トップの判断が重要
l 産業構造が変化してきており、モノ作り一辺倒ではなく、新しいサービスの付加価値を考える必要がある
l 人口減少・少子高齢化の時代にあり、年功序列的な閉鎖的雇用形態から脱却した新しい雇用形態を考える必要がある。
l 日本の大学の国際競争力は低く、若い人を育成するには、大学等の教育の改革も必要。
2 働き方に関するもの
l 経営者・管理者自身が、世界の動向を見誤りリーダーシップを発揮できないでいる。
l 上司は、部下のモチベーションや能力を向上する意識が希薄な上、仕事量を把握せずに指示を与え、時間管理は部下に任せる傾向がある。
l 若者への責任と権限の委譲がなされずに、年寄りの管理職が幅を利かせている(ある国際プロジェクトで打合せをすると、各国は30-40代の若者が一人しか参加しないが、日本からは部長・課長・プロマネなど5名も参加しないと話がまとまらない)。
l 定年延長ではなく、定年前倒しする方が社会人の大学再入学や新たな起業を促進するなど、労働生産性の向上が期待できる。
l 一般的に、品質を作り込むために完璧を目指し、残業が常態化している。
議論では、そもそもの「労働生産性」の定義や、グローバル化を始めとする最近の世界動向と関連付けた議論が多く出され、単なる「労働者の作業効率」というミクロ的な視点を超えた課題の拡がりと重要性を感じた。
講師による今後の問題の掘り下げを期待したい。
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