第153回講演会
- 日時 2019年5月25日(土) 10:00~13:00
- 講師 大和田 哲郎
中世の絵画は主にテンペラ画かフレスコ画の技法で描かれていた。壁画はふつうフレスコ画であるが、最後の晩餐はテンペル画として描かれた。
講師は漆喰壁の生成について化学反応から説明し、フレスコ画のメリット、デメリットも論じた。テンペラ画は顔料と卵の黄身を混ぜたものが絵の具であった。
フレスコ画は下地の漆喰が生乾きの6-7時間のうちに描かなければならないという時間的制約が厳しい。テンペラ画では制約なしに塗り直しもできる。しかし、時とともに絵の具の剥落があり、後世の画家による塗り直しが重なり、原画が不明瞭になってきた。
1977年から1999年にかけて大々的な修復作業が行われた。絵の具の一部をガスクロマトグラフィーにより分析し、使われた溶剤から時代を推定し、後年の画家による修正部分を除去するという手法が使われた。その20年間の作業の記録(NHKの1999年3月27日放映番組「よみがえる最後の晩餐」)が上映された。その最後にはコンピューターを用いた作成当時の推定画像が提示され、鮮やかな画像が感動をよんだ。
![]() |
![]() |