第155回講演会
- 日時 2019年7月20日(土) 12:00~14:00
- 講師 永田 典子
シェイクスピアに熱中していた講師が今度はイギリスの政治に挑戦し、力作の講演を行った。
学校の世界史では、中世や近世と、同時代的に西洋の国々を横の比較で学ぶが、今回はイギリスに絞って、そこでの議会制民主主義の発展という視点で縦方向に歴史を概観したのは非常に勉強になった。
<概要>
- イギリスの歴史は戦争に次ぐ戦争で、同じ島国の日本とは全く違う。 紀元前のビーカー人に始まり、ケルト人、ローマ帝国、ゲルマン(アングロ人、サクソン人、ジュート人)、デーン人、ノルマン人他が攻め入り王権をめぐって攻防。
- イギリスの議会制度は、王位継承の調整、王の戦費調達のための重税反対、キリスト教宗派対立の調整の場として発展してきた。 1215年のマグナカルタに始まり、権利請願(1628)、権利章典(1689)、王位継承法(1701)を経て、1911年の議会法で議会制度が確立した長い歴史を持っている。
- 今回のEU離脱的な考え方は以前からあり、全般的にEUの制度に対する信頼性が低く、1993年マーストリヒト条約以降ヨーロッパ懐疑派が広まった。
- 2016年のEU離脱の国民投票では、45才を境にして若年者は残留、高齢者は離脱とはっきり色分けされて対立している。
<議論>
- 今回はアイルランドとの国境線での関税の管理方法での対立が争点になっているが、EU内のフランスと非EUのスイスの間の国境の往来はあり、なぜ妥協できないのか不思議
- イギリスでの歴史的対立というのは対岸の火事ではなく、日本でも沖縄の基地問題の認識差や韓国との民族間の認識差があり、他人ごとではない。