第156回講演会
- 日時 2019年8月17日(土) 10:00~13:00
- 講師 山本 利昭
今回の発表は、「幸せを測る」の著者が、幸せの対極にある世間を騒がせた凶悪事件を基に今日の社会が抱える問題提起を行い、大いに議論が盛り上がった。
<概要>
- 運動会で小学生が騒ぐことに対し、元気が良いと捉えるかそれともうるさいと捉えるかであるが、ストレス社会の今日では音やちょっとした変化に対する受容性が低下し、些細なことにも大げさに反応する人々が増えてきたようだ。
- 戦後は貧しくて何とか食っていかねばならず皆生きるのに一生懸命だったが、経済的に豊かになると個人の欲望が増大して社会問題に発展。欧米では銃乱射等の深刻な問題が起こっている。
- 物が溢れる現状を「豊」と考えるか、それとも「貧困」と捉えるべきか。物と心の両面から捉える必要がある。戦後、東欧の人々は隣人を信用できないが、金を心配しなくても食っていける社会主義の生活を送っていた。ところが民主主義になると、隣人や社会を信用できるようになったが、逆に金の事を心配しなくてはならなくなった。 社会の仕組みが変わると、意識の変化も起きる。
- 引きこもりは、親が子離れできないことが原因で、甘い親にも責任の一端がある。無職で稼ぎがないということで子供に生活費を与えてしまう。若い時は子供を突き放す位の態度が必要。
- 「毎日5時間勉強して大学に行くべき」とかのベキ論躾が横行し、子供が委縮して、いじめとか引きこもりに繋がっている。人間の多様性を認めやる気を出させる指導が必要。
- 渋沢栄一は、次元の異なる「論語と算盤」の両方が必要であると言っている。現在は、算盤(金儲け)が主になり、論語(人としての生き方の教育)が欠如しているのではないか。 人間としての生き方、これが家庭でも学校でも社会でも十分に教育されていない。