第170回講演会
- 日時 2020年12月19日(土) 14:00~17:00
- 講師 井上 弐喜
老人病の上位として、1位癌、2位心臓病、3位脳疾患が挙げられるとのことだ。講師はこれまですでに癌と脳疾患について講演をされ、今回は心臓病についての講演であった。「わが家の心臓病」と題されているように、家族や親戚、そして講師自身の体験も交えて話され、一層真に迫る講演であった。
- 義妹の突然死。 2019年3月に義理の妹さんが亡くなられたが、原因ははっきりつかめていない。突然死の原因とされるのは、6割が大動脈解離、2割が心臓の構造や働きに欠陥がある場合である。
- 母親の突然死。 講師のお母様は、心臓の具合が思わしくなく、家庭医に罹っていたが、ある日外出先から早めに帰宅され、床を敷かれて、そのまま帰らぬ人となられた。心不全ということであった。
- 危険な脳梗塞の事例。 ①多くが就寝中に起こり、朝家族が気づく。血圧のコントロール、起床時間を出来るだけ定まった時刻にするなど注意が必要だ。 ②大動脈解離は6割が即死。頭を振ったり、首のマッサージなどの危険は冒さない。
- 心臓の弁と主な心臓弁膜症。 心臓の図を使っての解説。心臓には6つの弁がある。肺から戻ってきた血液は、左心房→僧帽弁→左心室→大動脈弁を経て全身に送り出される。全身から戻ってきた血液は、右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁を経て肺へ送られる。弁に異常が生じると、十分に血液を送り出せなくなる。
- 血液の大循環の説明。 ①血液について。 血液は血球と血漿でできている。白血球は種類が多い。外界から侵入する細菌や異物を防御する役割を持つ。透き通っているので、顕微鏡での観察には薬品で染色する。血小板は、血液凝固の役割をする。②リンパ球について。 血液ではないが、血管に多く入っている。リンパ球は生体防御の重要な細胞。BT細胞、NK細胞等がある。
- 妻の大動脈瘤。 奥様は1992年に頸動脈瘤になられた。最初物が2重に見え、検査により首筋の大動脈に、ふくらみが見つかった。ふくらみが大動脈に張り付き手術が困難な状態であった。結局は手術をせずに血圧のコントロールで病気を克服した。
- 講師の心筋梗塞。 1990年2月の健康診断で、狭心症が進み、心臓の冠動脈に心筋梗塞の疑いあり、との診断が出た。同年3月、横浜市大病院心臓血管センターに検査入院した。カテーテル検査では、3本の冠動脈に血栓は見つからなかった。背中側の冠動脈の先に細い血管があり、その先端に血栓が見つかった。その動脈は細すぎてステントを先に挿入出来なかった。しかし血栓の根元に別の動脈から来た毛細血管がその患部の細い血管の周りに見つかり、それが幸い栄養分や酸素を届ける役割をしていたようで自覚症状はなかった。ステントやバイパス手術といった大手術が避けられた。その後は、飲み薬中心に定期検診を受け、普通の生活を送っている。
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